仕事で役立つ、原理・原則・法則

自由と責任

自由と責任はセットである。
自由と責任のいずれかのみが存在したり、アンバランスな場合は、組織として不健全である可能性が高い。

自由のみが存在し、責任が伴わないような場面の例は以下の通り。

  • 予算は自由に使えるが、事業貢献ができなくても怒られず、評価にも影響しない
  • アーキテクチャや技術選定は自由に行える。しかしコストに無関心であり、抑えようという考えがない
  • 何らかのねらいで大規模な事業や組織の再編を行うが、その効果の検証や報酬には影響がない 1

自由のみが存在するケースでは事業の持続可能性に影響し、業績低迷や、事業売却・部門再編に繋がる可能性がある。

一方で、自由が存在せず、責任だけが存在するような場面の例は以下の通り。

  • 自由に使える予算はないが、大きな成果が求められる
  • 仕事のプロセスやツールを変更することはできないが、劇的な改善を求められる
  • プロジェクトマネージャーとして、無理な「QCD」をすべて達成することが求められている2

責任のみが存在するケースでは、組織として成果を出すことが難しい。
成果が出せた場合でもそれは個人の犠牲によって成り立っている場合があり、やはり中長期的にみると持続可能ではない。

受益者負担の原則

「リスクを取る人」と「リターンを享受する人」は、同一あるいは同一組織にするというもの。
そうでなければインセンティブが機能せず、中長期的にみると持続可能でない可能性が高い。

この原則から外れているような場面の例は以下の通り。

  • システム開発費を負担する部門と、それによる恩恵を受ける部門が異なる
  • 部門Aでシステムの設定に誤りがあった場合、部門Bが不利益を被る

このような場合は無駄な開発が行われたり、改善しようという力が自然と働きにくい。
個人個人の意識でカバーできるケースはあるが、属人的でなくインセンティブが機能する構造にすることが望ましい。

パレートの法則

世の中の多くのものはべき分布に従っている。
そして、べき分布に従っているのであればパレートの法則(80:20の法則)が適用できる余地がある。
したがって8割を構成する2割の要因に着目すれば、大きな費用対効果を得ることができる。

例えば、以下のような適用場面が考えられる。

  • ソフトウェアの処理時間の8割は、全体のソースコードの2割である
  • エラーの発生件数の8割は、種類別にみると2割の要因によるものである

  1. 残念ながら、大企業でよくみられる光景である ↩︎

  2. QCDはトレードオフなので、少なくとも1つを犠牲にすれば他2つを達成することはできる ↩︎

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