「強いて言うなら?」という問いかけで、問題を表出化させてみる

どんなときに使うもの?

チームや組織において、問題が出てこないときに用いる問いかけ。
例えばチームでKPTによるふりかえりをしても、チームが成熟していないと「問題は特にないです」で何の議論も進まなくなってしまうことがある。このようなときに用いることで、暗黙的な問題を表出化させて話し合いの足がかりにすることができる。

どのように使うもの?

組織やチームで「問題は特にないです」で終わってしまうときは、「強いて1つ挙げるとしたら何だろう?」という問いかけをしてみる。 すると、例えばメンバーからは以下のような問題が挙がるかもしれない。

  • 「テストコードがないから、実装がやりづらいんですよねー」
  • 「1週間の残業時間が15時間でした」
  • 「この機能、作ったはいいけど何のために使うのかよくわかっていないんです」

ここで重要なのは、これらの問題について重要かどうかは組織やチームの環境・価値観などの文脈に依存するということ。
特に成熟度の低いチームでは前提が揃っていないことが多く、個人個人の常識に強く依存する。
上記の例においては、以下の前提によって問題の程度も異なるだろう。

  • 不具合が出てもビジネス影響はないのか、大きな影響が出るのか?
  • そのペースで残業したら法律的にも健康的にもまずいのでは?
  • 使ってもらえるアプリを目指すのか、ただ納品を目指せばよいのか?(内製開発なのか、受託開発なのか?)

この問いかけの背後にある原理

重要性というのは、相対的に決まるものである。
そのため、個人としては解決すべき問題と感じていなくても、最も気になることを挙げることはできる。
そしてチームとして複数の問題(となりうる事柄)を表出化できれば、重要性は相対的に定まるし、話し合うこともできる。
もちろん、それらを必ず全て解決する必要があるわけではなく、解決する価値のある問題かどうかは見定める必要がある。

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